歯ぐきがやせて
歯の根が見えてきた

インプラント・骨造成(GBR)・
歯肉移植で土台から
つくり直した症例

歯周病で骨が大きく失われ、歯の根が露出してしまった部位の治療です。

抜歯から始め、インプラントの埋入と骨造成(GBR)、歯ぐきの移植までを段階的に行い、噛む機能と見た目を取り戻していきました。骨ができあがるまでに長い時間を要した、難易度の高いケースです。治療の流れを、節目ごとの写真とあわせてご紹介します。

初診時の状態

初診時の状態
初診時の状態

初診時、対象の部位では歯の根が露出し、表からはっきり見える状態でした。ご本人が感じる痛みはほとんどなかったものの、歯ぐきはえぐり取られたように下がり、本来あるべき歯ぐきのふくらみが大きく失われていました。

検査してみると、この原因は歯周病でした。歯周病が進むと歯を支える骨が溶けて痩せていき、その土台を失った歯ぐきも一緒に下がってしまうのです。

骨も歯ぐきも足りない状態からのスタートでした。また、これらの歯を残すことは難しかったため、抜歯のうえでインプラントを支える骨をつくり直し、清掃しやすい歯ぐきの環境まで整える、という段階を踏んだ治療計画を立てました。

治療の流れ

1.抜歯

1.抜歯

初診時のレントゲン写真で歯やあごの骨の状態を確認し、まずは抜歯から始めました。残せる見込みのない歯をとどめておくと、周囲の骨や歯ぐきへ悪い影響が続いてしまうためです。骨へのダメージを抑えながら、丁寧に抜き取りました。

※出血している写真のため、モノクロ加工を施しています。

2.インプラントの埋入と骨造成(GBR)を同時に

2.インプラントの埋入と骨造成(GBR)を同時に
2.インプラントの埋入と骨造成(GBR)を同時に

抜いた部分が落ち着いたタイミングで、次の段階へ進みます。骨が足りない状態だったため、インプラントを2本埋め込むのと同時に、足りない骨を補う骨造成を行いました。

1枚目の写真がインプラント埋入の様子で、2枚目の写真が骨造成の様子です。

3.GBR(骨再生誘導法)

3.GBR(骨再生誘導法)

足りない部分に骨補填材(骨の代わりになる材料)を置き、その上をメンブレンと呼ばれる膜で覆います。この膜には、骨になるはずのスペースへ歯ぐきが入り込むのを防ぐバリアの役割があります。

GBR(骨再生誘導法)とは

GBRは Guided Bone Regeneration の略で、骨再生誘導法と呼ばれます。骨補填材とメンブレンを用いて体がもつ「骨を再生する力」を引き出し、インプラントを支えられるだけの骨をつくり直す処置です。

メンブレンの種類と、今回チタン製を選んだ理由

メンブレンには2種類あります。時間とともに自然に溶ける吸収性と、チタンなどの金属でできた、溶けずに残る非吸収性です。

今回は、補った骨の量が多く、骨ができあがるまでに長い期間を要するため、非吸収性のチタン製を選択しております。この理由は、吸収性の膜は途中で溶けてしまい、その間に歯ぐきがスペースへ入り込み、骨の再生が妨げられてしまうからです。

今回のように骨の再生を長く待つケースでは、溶けずに守り続ける非吸収性のメンブレンが向いています。

メンブレンはチタン製でも大丈夫なのか?

非吸収性のメンブレンはチタンという金属でできていますが、チタンはインプラント本体にも使われる素材で、体になじみやすく(生体親和性が高く)、安全性が確認されています。装着中に痛みが出ることもありません。

なお、非吸収性の膜は役割を終えたあと、骨が十分に育った段階で取り除きます。

4.メンブレンの除去と歯ぐきの移植(遊離歯肉移植)

メンブレンの除去と歯ぐきの移植(遊離歯肉移植)
メンブレンの除去と歯ぐきの移植(遊離歯肉移植)

骨補填材を入れてから数か月かけて骨が育つのを待ち、役割を終えたメンブレンを取り除いたうえで、失われた歯ぐきを補います。

今回行ったのは、口の中の別の場所から組織を採取して移植する、遊離歯肉移植(ゆうりしにくいしょく)です。採取したのは口蓋(こうがい。上あごの内側)からです。治療部位に近く、治りも早い場所です。採取した組織を欠損部にあて、丁寧に縫い合わせました。

なぜ歯ぐきを移植するのか

なぜ歯ぐきを移植するのか

インプラントの頬側に動かない丈夫な歯ぐき(角化歯肉)が薄いと、汚れがたまりやすく清掃性が悪くなります。このままでも被せ物は作れますが、今回は長く良い状態を保つため、歯ぐきを移植して磨きやすい環境を整えました。

5.インプラントブリッジの装着

インプラントブリッジの装着
インプラントブリッジの装着

骨と歯ぐきの土台が整ったところで、最終的なインプラントブリッジを装着し、治療は完了です。今回は2本のインプラントで3歯分を支える、2本支台・3ユニットのインプラントブリッジに仕上げました。

ブリッジの中間歯は歯ぐきに当たって痛くないのか?

3歯分のうち両端はインプラントの上に乗る人工の歯、中間の1歯はインプラントの体がない、橋のように宙へ渡した人工歯です。

中間の歯は歯ぐきにほとんど触れない設計で、噛む力は両端の2本のインプラントが受け止めるため、痛むといった不具合は起こりません。

本治療のまとめ

治療前後を比較した写真

①正面

治療前

治療前

治療後

治療後

②左側

治療前

治療前

治療後

治療後

③レントゲン写真

治療前

治療前のレントゲン写真です。

抜歯後

抜歯後です。歯がなくなっているのが分かります。

治療前

インプラントを埋入した後の画像です。

初診時の状態

歯周病で骨と歯ぐきが大きく失われ、歯の根が露出した状態。痛みの自覚はほとんどありませんでした。

治療内容

抜歯のうえ、インプラント2本の埋入と骨造成(GBR)を行い、非吸収性のチタン製メンブレンで保護。骨の再生を待ってメンブレンを除去し、遊離歯肉移植で歯ぐきを補ったうえで、最終的にインプラントブリッジ(2本支台・3ユニット)を装着しました。

治療時期2024年9月〜2025年12月
治療内容抜歯、インプラント2本埋入+骨造成(GBR)、メンブレン除去+遊離歯肉移植、
インプラントブリッジ(2本支台・3ユニット)
治療期間約1年3か月
費用インプラント2本:616,000円(税込)
上部構造3本分:528,000円(税込)
歯肉移植:66,000円(税込)
サイナスリフト:242,000円(税込)
リスク外科処置に伴う腫れ、痛み、出血が生じることがあります
メンテナンスを怠るとインプラント周囲炎を起こす可能性があります

担当医師の所感

工程が多く、骨ができあがるまでに長い期間を要した、難易度の高い症例でした。骨も歯ぐきも大きく失われたところからのスタートでしたが、土台をひとつずつ立て直し、しっかり噛めて清掃もしやすい状態まで回復させることができました。

歯ぐきが下がってきた、歯の根が見えてきたといったお悩みがありましたら、進行する前に一度ご相談ください。

医院基本情報

OSHIAGE SORAIRO DENTAL CLINIC 押上そらいろ歯科

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